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コラム

犬のブラッシングのやり方|毛質別ブラシの選び方と慣らし方

ブラッシングは、自宅でできるケアの中でも特に基本的なもののひとつです。抜け毛を取るだけでなく、皮膚の状態を確認したり、体に触れることに慣らしたりと、役割は想像以上に多岐にわたります。ところが「ブラシを見せると逃げる」「どの道具を使えばいいかわからない」という悩みを抱える飼い主さんも少なくありません。この記事では、犬のブラッシングのやり方を毛質別の道具選び・基本の手順・嫌がる犬への慣らし方に分けて解説します。銀座でトリミングサロンやペットホテルを運営するSOPRAグループの現場で、日々の施術から見えてきたポイントも紹介します。

ブラッシングの目的

  • 抜け毛・もつれの除去:毛玉は放っておくと皮膚を引っ張り、痛みや皮膚トラブルの原因になります。
  • 皮膚と被毛の観察:赤み、フケ、しこり、ノミ・マダニなどに早く気づけます。
  • 血行の促進と被毛のつや:適度な刺激が皮膚の健康を保つ助けになります。
  • 触られることへの慣れ:動物病院やトリミングでの負担を減らします。

特に最後の点は見落とされがちです。家庭で体に触れる習慣がある犬は、プロのケアや診察の場面でも落ち着いていられることが多いと、現場では実感しています。

毛質別・ブラシの選び方

ダブルコート(柴犬、ゴールデン・レトリーバー、コーギーなど)

アンダーコート(下毛)が多く、換毛期には大量に抜けます。スリッカーブラシで表面の毛を整え、ラバーブラシや目の粗いコームで下毛を取り除くと効率的です。

シングルコートの長毛(トイ・プードル、マルチーズ、シー・ズーなど)

抜け毛は少ないものの、毛がもつれやすいタイプです。スリッカーブラシで根元から丁寧にほぐし、仕上げにコームを通して、引っかかりがないかを確認します。

短毛(フレンチ・ブルドッグ、パグ、ミニチュア・ピンシャーなど)

ラバーブラシや獣毛ブラシで、マッサージするように抜け毛を取ります。皮膚が薄い部分もあるため、硬いピンのブラシは強く当てないのが基本です。

道具選びで気をつけたいこと

スリッカーブラシは便利な反面、ピンが細く硬いため、力を入れすぎると皮膚を傷つけることがあります。自分の腕の内側に当てて、痛くない強さを確かめてから使うと安心です。

基本のブラッシング手順

  1. 体を触って確認する:まず手で全身をなで、毛玉や皮膚の異常がないかを確かめます。
  2. 毛の流れに沿ってとかす:背中や脇腹など、犬が触られて平気な場所から始めます。
  3. 毛を分けて根元から:長毛の犬は、毛を少量ずつ持ち上げて根元からとかすと、表面だけ整って中がもつれている状態を防げます。
  4. もつれやすい部位を重点的に:耳の後ろ、脇の下、内もも、しっぽの付け根は毛玉ができやすい場所です。
  5. コームで仕上げの確認:最後にコームがスッと通れば完了です。

毛玉を見つけたら、根元を指で押さえて皮膚が引っ張られないようにし、毛先から少しずつほぐします。大きく固まった毛玉を無理に取ろうとすると痛みを与えてしまうため、トリミングサロンに相談するのが安全です。ハサミで切るのは皮膚を傷つける危険が高いので、家庭では避けてください。

【現場でよくある相談】

トリミングサロンで多いのが「家で毎日ブラッシングしているのに、毛玉ができてしまう」という相談です。実際に見せていただくと、表面はきれいでも根元にもつれが残っていることがよくあります。ブラシが表面をなでるだけになっているのが原因です。こうしたときは、毛を分けて根元を見せながら、コームの通り方で確かめる方法をお伝えしています。毎日の時間は短くても、根元まで届いていれば毛玉はぐっと減ります。

ブラッシングを嫌がる犬への慣らし方

ステップ1:ブラシを「いいもの」にする

ブラシを見せたらおやつ、ブラシを床に置いてにおいを嗅いだらおやつ。まずはブラシの存在そのものに良い印象を持たせます。

ステップ2:ブラシの背で触れる

ピンの面ではなく、ブラシの背で体に軽く触れ、すぐにごほうびを与えます。犬が落ち着いていられる時間を少しずつ延ばしていきます。

ステップ3:好きな場所から数回だけ

背中や胸など、触られて平気な場所を2〜3回とかしたら終了。嫌がる前にやめるのがコツです。足先やお尻まわりなど苦手な部位は、慣れてきてから最後に取り組みます。

ステップ4:短い時間を積み重ねる

一度に全身を仕上げようとせず、今日は背中、明日は脇腹と分けても問題ありません。毎日1〜2分でも、続けることに意味があります。

犬が体をこわばらせる、唇をなめる、顔をそむけるといったサインを見せたら、ストレスを感じている合図です。そのサインが出る手前で終わらせることを意識してください。サインの読み方は犬のボディランゲージの読み方で詳しく解説しています。

【SOPRA ACADEMYコラム】

SOPRAグループのトリミングサロンでは、仕上がりの美しさと同じくらい「犬が施術を嫌な時間と感じないこと」を重視しています。ケアに慣れていない犬は、トリミング台の上で強く緊張してしまうからです。家庭でのブラッシング習慣は、その緊張を和らげる一番の味方になります。プロのケアと家庭のケアは、別々のものではなく、つながっていると考えています。

ブラッシングの頻度の目安

  • 長毛・もつれやすい犬:できれば毎日。短時間でも根元まで
  • ダブルコートの犬:普段は数日に1回、換毛期は毎日
  • 短毛の犬:週に数回、スキンシップを兼ねて

これはあくまで目安です。生活環境や被毛の状態によって必要な頻度は変わるため、トリミングサロンで相談すると、その子に合ったペースがつかめます。

ホームケアの知識は仕事にも活きる

ブラッシングをはじめとするホームケアの知識は、トリミングサロンやペットホテルのスタッフ、ペットシッター、犬の幼稚園の保育スタッフなど、犬に触れる仕事の多くで役立ちます。飼い主さんに家でのケア方法を伝えられるスタッフは、サービスの価値を高める存在になります。

【SOPRA ACADEMYコラム】

ペットシッターとしてご家庭を訪問すると、散歩や食事のお世話のあとに、少しだけブラッシングを頼まれることがあります。そんなとき、毛質に合った道具を選び、犬の反応を見ながら無理なく進められるかどうかで、飼い主さんからの信頼は大きく変わります。SOPRA ACADEMYのホームケア講座は、こうした日々のケアを根拠を持って行える人を育てることを目指しています。

よくある質問

Q. ブラッシングはシャンプーの前と後、どちらにすべきですか?

A. 基本は両方です。シャンプー前にもつれをほぐしておくと、濡れて毛玉が固まるのを防げます。乾かしたあとにもう一度とかすと、仕上がりが整います。

Q. 換毛期に抜け毛が止まりません。取りすぎて大丈夫ですか?

A. 抜けかけている下毛を取り除くのは問題ありません。ただし、同じ場所を何度も強くこすると皮膚を傷めるため、力加減には気をつけてください。皮膚に赤みや脱毛が見られる場合は獣医師に相談を。

Q. 子犬はいつからブラッシングを始めればいいですか?

A. 迎えて環境に慣れてきたら、柔らかいブラシで短時間触れるところから始められます。子犬期に体を触られる経験を積んでおくと、成長してからのケアがぐっと楽になります。

まとめ

犬のブラッシングは、抜け毛やもつれを取るだけでなく、皮膚の観察や触られることへの慣れにもつながる、暮らしの土台になるケアです。毛質に合った道具を選び、根元まで届くとかし方を意識する。嫌がる犬には、ブラシへの良い印象づくりから段階的に進める。この3つを押さえれば、毎日のブラッシングは犬と飼い主さんの両方にとって心地よい時間になります。

家庭でのケアを体系的に学びたい方は、一般社団法人JPLC認定のホームケア講座をご覧ください。トリミングの考え方や安全面を座学で学ぶトリマー講座もあります。受講形式は各講座ページで確認できます。ほかの資格と比べるなら資格選びガイドが便利です。