ペットシッターの仕事内容を解説|1回の訪問の流れと業務の中身
ペットシッターの仕事と聞くと、「犬の散歩をして、ごはんをあげる仕事」というイメージを持つ方が多いかもしれません。実際には、依頼を受ける前の打ち合わせ、鍵の受け渡し、訪問中の観察、訪問後の報告、そして最終日の引き渡しまで、一連の流れの中に多くの業務が含まれています。この記事では、犬の幼稚園・トリミングサロン・ペットホテル・ペットシッターを銀座拠点で運営するSOPRAグループの視点から、ペットシッターの仕事内容を「依頼の流れ」と「1回の訪問の中身」に分けて具体的に解説します。これから資格取得や仕事探しを考えている方が、働く姿をイメージできる内容を目指しました。
ペットシッターの仕事の全体像
ペットシッターは、飼い主さんが旅行や出張、入院、冠婚葬祭などで家を空けるあいだ、その家に訪問して動物のお世話をする仕事です。ペットホテルのように動物を施設へ移動させるのではなく、住み慣れた自宅で過ごしてもらえる点が最大の特徴です。環境の変化に敏感な猫や、高齢で移動が負担になる犬、複数の動物を飼っている家庭などから依頼が寄せられます。
仕事の流れは、大きく次の5つの段階に分けられます。
- 問い合わせ対応と事前打ち合わせ
- 鍵の受け取りと契約内容の確認
- 訪問してのお世話
- 訪問ごとの報告
- 最終訪問後の鍵の返却と振り返り
このうち、実際に動物と接するのは3番目の段階ですが、仕事の質を左右するのは、むしろその前後の準備と報告です。
訪問前の仕事|事前打ち合わせで決めること
初めての依頼では、訪問の前に飼い主さんと打ち合わせを行い、お世話の内容を細かく確認します。聞き取る項目は多岐にわたります。
動物についての情報
名前、年齢、性別、既往歴やアレルギー、かかりつけの動物病院、苦手なこと、怖がる音や物、人への慣れ具合などを確認します。初対面のペットシッターに対して、動物がどの程度警戒するかを知っておくことは、安全に仕事を進めるうえで欠かせません。可能であれば、打ち合わせの場で動物と顔を合わせ、においを嗅いでもらったり、飼い主さんがいる状態で少し触れ合ったりする時間をつくります。
お世話の手順
フードの種類と量、与える時間、水の交換方法、トイレの場所と掃除の仕方、散歩のコースや時間、遊び方、ブラッシングの有無などを確認します。薬を与える必要がある場合は、獣医師から処方された内容を飼い主さんの指示どおりに与えられるかどうかを、事前に取り決めておきます。
家の中のルールと緊急時の対応
入ってよい部屋、触れてはいけない物、エアコンや照明の設定、郵便物の扱い、ゴミの処理なども、この段階で取り決めの対象になります。あわせて、体調の急変や脱走、災害時にどの順番で誰に連絡するのか、どの動物病院へ向かうのかを確認し、書面に残しておきます。
【現場でよくある相談】
飼い主さんから「いつも通りにしてもらえれば大丈夫です」と伝えられ、細かい手順を聞き取りきれなかった、という相談があります。飼い主さんにとって当たり前の習慣ほど、言葉にされにくいものです。「フードはどの器に、どの順番で入れていますか」「散歩から帰ったら足はどう拭いていますか」など、場面ごとに具体的に質問していくと、日常の細かなルールが見えてきます。聞き取りの質が、訪問中の動物の落ち着きに直結します。
訪問中の仕事|1回のお世話の流れ
1回の訪問は、依頼内容によって30分から1時間前後で設定されることが多く、その中で次のような作業を行います。
到着時の確認
玄関を開ける前に、動物が飛び出してこないかを意識しながら入室します。まず行うのは、動物の姿を確認することです。いつもいる場所にいるか、呼びかけへの反応はどうか、部屋に嘔吐や下痢の跡がないかを見ます。室温や水の残量、前回の訪問からの変化もこのタイミングで確認します。
食事と水の準備
事前に決めた量と方法で食事を与え、食べ方や残した量を記録します。水は器を洗ってから新しいものに替えます。食欲の変化は体調のサインになることがあるため、「完食した」だけでなく、食べ始めるまでの時間や食べる速さにも目を向けます。
トイレの掃除と排泄の確認
猫のトイレや犬のペットシーツを掃除しながら、排泄物の量や状態、回数を確認します。排泄の変化は、飼い主さんが特に気にする情報の一つです。いつもと違う点があれば、写真を添えて報告します。
散歩・運動・遊び
犬の場合は、決められたコースと時間で散歩をします。首輪やハーネスの緩みを出発前に確認し、拾い食いや他の犬とのトラブルに注意を払います。猫の場合は、おもちゃで遊んだり、そばで静かに過ごしたりと、その子の性格に合わせた関わり方をします。無理に構うより、安心して姿を見せてくれるのを待つことが大事な場面もあります。
健康状態の観察と簡単なケア
目や耳、被毛、皮膚、歩き方、呼吸の様子などを観察します。依頼に含まれていればブラッシングなどの簡単なケアも行います。気になる症状があっても自分で判断せず、事前に決めた連絡手順に沿って飼い主さんに報告し、必要に応じて獣医師への相談につなげます。
退室前の最終確認
水とフードの状態、ケージや扉の閉め忘れ、窓の施錠、エアコンや照明の設定を確認してから退室します。最後に動物の姿をもう一度確認し、閉じ込めや挟み込みがないかを見届けます。
【SOPRA ACADEMYコラム】
SOPRAグループのペットホテルやトリミングサロンでは、お預かりの開始時と終了時に、動物の様子を確認して記録に残すことを重視しています。預かる前と後で何が変わったのかを説明できることが、飼い主さんとの信頼の土台になるからです。ペットシッターの訪問も同じ考え方で、到着時と退室時の確認を毎回同じ順番で行うことで、見落としを減らし、変化に気づきやすくなります。
訪問後の仕事|報告と引き渡し
訪問ごとの報告
訪問を終えたら、その日の様子を飼い主さんに報告します。食事や排泄の状態、散歩や遊びの様子、気になった点などを、写真や動画とともに伝えます。飼い主さんは離れた場所から、この報告を頼りにペットの様子を想像しています。「元気でした」の一言で終わらせず、「窓辺で日向ぼっこをしていました」「お気に入りのおもちゃを自分から持ってきました」といった具体的な描写があると、安心感が大きく変わります。
最終日の引き渡し
依頼期間が終わったら、鍵を返却し、期間中の様子をまとめて伝えます。次回の依頼に向けて、お世話の手順で変更した点や気づいた点を記録しておくと、リピートの際に役立ちます。
犬・猫・小動物で異なる仕事の中身
同じペットシッターでも、対象の動物によって仕事の比重は変わります。
- 犬:散歩の比重が大きく、1日に複数回の訪問を求められることもあります。リードの扱いや、散歩中の安全管理の知識が欠かせません。
- 猫:散歩はありませんが、環境の変化に敏感な子が多く、姿を見せないこともあります。隠れ場所を把握し、無理に引き出さずに安全を確認する技術が求められます。
- 小動物:ケージの掃除や温度管理が中心になります。種類ごとに適した環境が大きく異なるため、事前の聞き取りがより細かくなります。
仕事をするうえで知っておきたい制度
ペットシッターを事業として行う場合、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく第一種動物取扱業(保管)の登録が必要です。登録には、事業所ごとに動物取扱責任者を選任する必要があり、その要件は獣医師や愛玩動物看護師を除き、実務経験半年以上または飼養経験1年以上と、所定の資格の取得または所定の学校の卒業を組み合わせたものです。どの資格が要件として認められるかは自治体の判断によるため、事前に管轄の自治体へ確認が必要です。登録は5年ごとの更新で、動物取扱責任者は年1回の研修を受けることが求められています。
【SOPRA ACADEMYコラム】
SOPRA ACADEMYのペットシッター講座は、一般社団法人JPLCの監修のもと、この記事で紹介したような事前打ち合わせの考え方、訪問時の観察ポイント、報告の組み立て方などを体系的に学べる内容です。犬の幼稚園やペットシッターの現場で積み重ねてきた「預かる側の視点」を、学習の中に取り入れています。仕事内容を具体的にイメージできると、学ぶべきことの優先順位も見えやすくなります。
よくある質問
Q. ペットシッターは1日に何件くらい訪問するのですか?
働き方や地域、移動手段によって大きく異なります。1件ごとの移動時間や、朝夕の食事時間に依頼が集中しやすいことを考えると、件数を詰め込みすぎないことが仕事の質を保つうえで欠かせません。繁忙期と閑散期の差も大きい仕事です。
Q. ペットシッターがしてはいけないことはありますか?
診断や治療などの医療行為は行いません。体調に不安があるときは、飼い主さんに連絡したうえで獣医師への相談につなげます。また、打ち合わせで決めていない部屋に入る、家の中の物に触れる、訪問先の情報を外部に漏らすといった行為も信頼を損ないます。
Q. ペットホテルのスタッフとの違いは何ですか?
ペットホテルは施設で複数の動物を預かり、スタッフが常駐して見守ります。ペットシッターは動物の自宅に訪問し、基本的に一人でお世話を行います。自宅という環境を守れる反面、訪問と訪問のあいだは動物だけで過ごす時間があるため、限られた時間での観察と、退室時の安全確認がより重要になります。
まとめ|仕事内容の中心は「お世話」と「観察」と「報告」
ペットシッターの仕事内容は、食事や散歩といったお世話だけではありません。事前打ち合わせで飼い主さんの暮らし方を聞き取り、訪問中に小さな変化を観察し、その様子を分かりやすく伝える。この一連の流れすべてが仕事です。動物にとっては「いつも通りの一日」を、飼い主さんにとっては「離れていても様子が分かる安心」を届けることが、ペットシッターの役割といえます。
仕事の流れを体系的に学びたい方は、SOPRA ACADEMYのペットシッター講座をご覧ください。一般社団法人JPLC(https://japanpetlifecocreation.com/)が認定する講座です。猫のお世話を深く学びたい方はキャットケア講座、ほかの資格と比べて検討したい方は資格選びガイドも参考にしてください。