副業でペットシッターはできる?始め方・収入・注意点を現場目線で解説
平日は会社員、週末だけ動物に関わる仕事をしたい——そんな希望から、副業としてのペットシッターを検討する人が増えています。店舗も大きな設備も要らず、自分の空き時間で動ける。条件だけを並べると、副業向きの仕事に見えます。
一方で、SOPRAグループが犬の幼稚園・トリミングサロン・ペットホテル・ペットシッターサービスを運営してきた経験から言えるのは、シッターは「空き時間に合わせて入れる仕事」ではなく「飼い主の留守に合わせて入る仕事」だということです。依頼が集中するのは連休、年末年始、お盆、平日の夜。この需要の形と、本業のスケジュールをどう噛み合わせるかが、副業として成立するかどうかの分かれ目になります。この記事では、副業ペットシッターの始め方、収入の組み立て方、つまずきやすいポイントを現場目線で整理します。
副業ペットシッターは可能か:結論と前提条件
働き方は大きく3パターン
副業でシッターに関わる方法は、次の3つに分かれます。
- シッター会社にアルバイトとして雇用される:会社の登録のもとで働くため、自分で動物取扱業の登録をする必要はない。研修やマニュアルがある分、未経験でも入りやすい
- シッター会社やマッチングサービスと業務委託契約を結ぶ:個人事業主としての扱いになり、契約内容によっては自身の登録を求められる
- 個人で開業する:第一種動物取扱業(保管)の登録が必須。責任者要件(資格または学校卒業+実務経験または飼養経験)を満たす必要がある
「副業だから登録は要らない」という理解は誤りです。報酬を得て動物を世話する事業である以上、本業か副業かに関係なく、個人で請け負うなら登録が前提になります。どの形態が登録を要するかの線引きは契約内容で変わるため、業務委託で始める場合は、契約先に登録の要否を必ず確認してください。
本業側で確認すべきこと
副業を始める前に、勤務先の就業規則で副業が認められているか、届出が必要かを確認します。加えて、副業所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。雇用型のアルバイトなら給与所得、業務委託や個人開業なら事業所得(または雑所得)として扱いが分かれるため、始める段階で働き方と税務の関係を把握しておくと、年度末に慌てずに済みます。
【現場でよくある相談】
「週末だけのつもりで始めたのに、ゴールデンウィークに依頼が集中して本業の予定と重なってしまった」——副業シッターから実際に届く悩みです。シッターの需要は、飼い主が家を空ける時期に一斉に立ち上がります。SOPRAのペットホテルでも、連休前は数週間前から予約枠が埋まっていきます。副業で続けている人に共通するのは、「受けられる日」ではなく「受けられない日」を先に決めて公開していること。繁忙期にすべて応じようとすると、本業にも依頼者にも迷惑がかかります。あらかじめ対応可能な期間と件数の上限を示しておくほうが、結果として信頼を得やすくなります。
副業ペットシッターの仕事内容と一日の流れ
1回の訪問で行うこと
一般的な訪問は30分〜1時間程度で、主な作業は次のとおりです。
- 入室時の室内・動物の様子の確認(温度、においの変化、物の散乱など)
- 給餌・給水、食べ残しの量の確認
- トイレ掃除と排泄物のチェック
- 犬の散歩、猫の遊び相手
- 必要に応じた投薬やブラッシング
- 写真とコメントによる飼い主への報告
週末副業のスケジュール例
土曜の朝に2件、夕方に2件。これを日曜も繰り返すと、週末で8件前後が現実的な上限になります。移動時間を含めると1件あたり1時間半程度を見込む必要があり、担当エリアを自宅周辺に絞るかどうかで、1日にこなせる件数が大きく変わります。
猫の場合は1日1回、犬の場合は朝夕2回の訪問を希望されることが多いため、犬の依頼を受けるなら、平日朝に訪問できるかどうかも検討が必要です。副業の場合、平日の朝夕に動けない前提なら、猫中心・週末中心で組み立てると本業との両立がしやすくなります。
【SOPRA ACADEMYコラム】
SOPRAグループの犬の幼稚園では、同じ犬を継続して担当するスタッフがいると、その子の落ち着き方が明らかに変わります。シッターでも同じことが起きます。毎回違う人が来るより、同じ人が来るほうが動物のストレスは小さく、飼い主も安心します。副業シッターが「週末しか動けない」ことは弱みに見えますが、裏返せば「週末の旅行のたびに、毎回同じ人が来てくれる」という強みにもなります。件数を追うより、少数の家庭と長く付き合う。副業だからこそ取れる戦い方です。
副業ペットシッターの収入イメージ
雇用型の場合
シッター会社のアルバイトとして働く場合は、時給制または1件あたりの歩合制が一般的です。金額は地域や会社によって幅があり、移動時間が時給の対象になるかどうかで実質の時給が大きく変わります。応募前に、交通費の扱いと移動時間の扱いを確認しておくと、想定と実態のずれを防げます。
個人開業の場合
個人で受ける場合、1回あたりの料金はエリアや内容、頭数によって設定が異なり、交通費や鍵の預かり料を別途設定するケースもあります。仮に週末だけで月に十数件を受けられれば、月数万円程度の副収入になる計算ですが、開業直後から依頼が埋まることはほとんどありません。登録手数料、賠償責任保険料、資格取得費用、備品代といった初期費用を回収するまでに一定の期間がかかる前提で計画を立てる必要があります。
収入を安定させる要素は、単価よりもリピート率です。一度依頼した家庭が次の旅行でも頼んでくれるかどうか。これが積み上がると、集客にかける時間が減り、同じ稼働時間でも収入が伸びていきます。
副業で始める前に準備しておきたい知識とスキル
現場で必要になる知識
シッターは一人で訪問するため、異変に気づけるかどうかがすべての土台になります。とくに副業の場合、限られた訪問回数のなかで判断する必要があり、知識の差が結果の差に直結します。
- 犬猫の健康状態の見方(排泄物・食欲・呼吸・動き)
- 知らない人に対する犬猫のストレスサイン
- 緊急時の連絡フローと、動物病院に連れて行く判断基準
- 鍵の管理、個人情報の取り扱い
SOPRA ACADEMYのペットシッター講座は、一般社団法人JPLC監修の認定資格講座として、こうした現場の判断を体系的に学べる構成にしています。猫の依頼を中心に組み立てるならキャットケア講座を組み合わせると、対応の幅が広がります。
向いている人
副業シッターとして続いている人には、次のような特徴があります。
- スケジュールを事前に組み、約束を守れる
- 報告を丁寧に書くことを苦にしない
- 自分の対応範囲を正直に伝えられる(「できないことはできない」と言える)
- 動物だけでなく、飼い主とのやり取りも楽しめる
副業から本業へ:キャリアパスと独立の可能性
副業で始めた人の一部は、固定客が増えたタイミングで独立を検討します。その際に効いてくるのが、副業期間中に積んだ経験の中身です。
個人開業に必要な動物取扱責任者の要件には、常勤での実務経験などが含まれます。副業のアルバイト経験だけで要件を満たせるかどうかは勤務形態によって判断が分かれるため、将来の独立を視野に入れているなら、ペットホテルや犬の幼稚園での常勤経験をどこかで挟む計画を早めに立てておくと道筋が明確になります。
また、独立後にサービスの幅を広げる選択肢もあります。高齢犬の見守りや介助を含めた訪問は需要が伸びている分野で、老犬介護講座で学んだ知識がそのまま差別化の要素になります。
【SOPRA ACADEMYコラム】
SOPRAグループのトリミングサロンやペットホテルには、「本業は別にあるけれど、動物に関わる時間を持ちたい」という理由で学び始めたスタッフもいます。最初は週1日の勤務でも、現場で飼い主と話し、動物の変化を記録し続けるうちに、自分が本当にやりたい分野が見えてくる。シニア犬のケアに惹かれる人もいれば、子犬のしつけに興味が移る人もいます。副業は「お試し」ではなく、自分の適性を現場で確かめる期間。そう捉えると、最初の一歩の選び方も変わってきます。
よくある質問
Q. 会社員でもペットシッターの副業はできますか?
勤務先の就業規則で副業が認められていれば可能です。シッター会社にアルバイトとして雇用される形なら、自身で動物取扱業の登録をしなくても始められます。個人で請け負う場合は登録が必要になり、責任者要件を満たしているかどうかの確認から始めることになります。
Q. 動物を飼った経験がなくても始められますか?
雇用型のアルバイトなら、研修を前提に未経験者を受け入れている求人もあります。ただし、飼い主は「自分の家族を任せられる人か」を見ているため、飼育経験や学習歴がないと、担当を任されるまでに時間がかかる傾向があります。事前に基礎知識を学んでおくと、研修後の立ち上がりが早くなります。
Q. 副業のペットシッターで気をつけるべきトラブルは?
多いのは、鍵の管理に関するもの、動物の脱走、体調急変時の対応の遅れです。事前の打ち合わせ(ヒアリング)で、かかりつけ病院、緊急時の連絡先、立ち入ってよい部屋、脱走リスクのある場所を確認しておくことで、多くのトラブルは未然に防げます。賠償責任保険への加入も、個人で受ける場合には欠かせない備えです。
まとめ:副業シッターは「需要の形」を理解した人が続く
ペットシッターは副業として始めやすい一方で、需要が繁忙期に集中し、一人で判断する場面が多い仕事です。雇用・業務委託・個人開業のどれを選ぶかで、必要な手続きも収入の組み立て方も変わります。まずは自分の本業のスケジュールと照らし合わせ、「受けられる範囲」を明確にすることから始めるのが現実的な進め方です。
そして、少数の家庭と長く付き合えるシッターほど、副業でも安定した収入と信頼を積み上げていきます。その土台になるのは、異変に気づける知識と、飼い主を安心させる報告の力です。
SOPRA ACADEMYでは、JPLC認定のペットシッター講座をはじめ、犬猫に関わる仕事の専門講座を用意しています。副業から始めるか、将来の独立まで見据えるか。目指す働き方に合わせた講座選びは、資格選びガイドで確認できます。